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| 2010年2月号 |
ウルトラマンメビウス アンデレスホリゾント
朱川湊人さん
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直木賞作家・朱川湊人さんの新刊は「ウルトラマン」小説である。
ウルトラシリーズ40年にあたる2006年、テレビドラマ「ウルトラマンメビウス」全50話が放映された。うち3話の脚本を朱川さんは担当した。「ウルトラマンがもともと大好きだったんです。シリーズ最初の『ウルトラQ』を2歳半、『ウルトラマン』を3歳で見て、どちらもしっかり記憶に残っている。以来、ウルトラと名の付くものはずっと大好きでした」。直木賞受賞作『花まんま』収録の「トカビの夜」にも、子ども同士を結ぶファクターとして「怪獣」を登場させているくらいなのだ。「その後もウルトラマン好きを吹聴していたら、新しいウルトラシリーズの仕事をさせていただくことになったという経緯です」
この脚本をもとに新たに書き起こされたのが『ウルトラマンメビウス アンデレスホリゾント』である。タイトルを直訳すれば“異なる地平線のウルトラマンメビウス”。「脚本がレコードのA面だとすると、小説はB面です」との言葉どおり、テレビドラマの単なる「ノベライズ本」では決してない。
防衛組織GUYS JAPANの研修隊員・ハルザキ カナタ。小説版は、テレビシリーズには登場しなかった彼の目を通して描かれる。地球に次々と来襲する怪獣たち、その撃退に奮闘するGUYS隊員たちとウルトラマンメビウス─。そこには、朱川さんの手による小説だからこその深い人間ドラマがある。たとえウルトラマンに無縁だった読者でも、上質のSF小説として大いに楽しむことができるはずだ。「全体を通したテーマもテレビドラマのそれとは違うものにしました。異星人としてのウルトラマンの神秘性を大事にしたかったんです」
収録作5編のうち、最も思い入れの大きいのは最終話「幸福の王子」だという。自己を犠牲にして他者に愛を施すことの美徳を描いたオスカー・ワイルド作の童話「幸福の王子」に結びつけた物語である。「ウルトラマンたちはなぜ地球を守ろうとするのか。その答えと、こうあってほしいと僕が願うウルトラマンの姿を書きました」。異星人を拒絶し、「何の損得勘定もなしに他人に施せる者など、この世にはいない」と主張していたカナタの心が変遷する様に、著者の思いが宿る。「ウルトラファンからは賛否両論あるかな。でも僕のような古い世代のファンは、きっとこの小説を受け入れてくれると信じています」
著者のキャリアの中でウルトラマン小説は異色にも見える。「考えていること、やっていることは他の一般小説と変わりません。社会的弱者に肩入れしてしまうようなところは、ウルトラマンが育ててくれた心だと思います」。むしろ、朱川作品の原点がウルトラマンにあったとも言えるのだ。
「ウルトラマンは日本が世界に誇れる存在であり、男の子のロマンです。僕がウルトラマンを愛する気持ちは永遠。こんな仕事ができて、僕は幸せ者です(笑)」 |
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